ポデモスのイグレシアスが語る

スペインはユーロを離脱しない

ギリシャの反乱が欧州だけでなく、世界のマーケットを揺さぶっているが、ＥＵ内で次の火種を抱えているのが、１１月に総選挙をひかえるスペインだ。 ギリシャのSyrizaに近い存在が、同じポピュリスト党のPodemos（We can）。

イグレシアスは１９７８年マドリード生まれの３７歳。マルクス主義者マヌエル・モネレオに多くを学ぶ。 ２０１４年５月欧州議会議員に当選。ポデモスも２０１４年に結成されたばかりだが、急速に勢力を伸ばし、１１月の総選挙で、ギリシャのシリザ同様、政権を獲得することもありうるとみられている。

「われわれはユーロからの離脱はまったく考えていない。
ユーロ創出のやり方やマーストリヒト条約の作り方には批判的だが、ユーロはもはや否定できない存在になっている。 ユーロの管理運営にはもっと民主的な方法が必要であるが、離脱はわれわれの考えにはない。
ギリシャのSyrizaは一部に離脱を主張するものもいるが、われわれは違う。欧州中銀の運営には好ましくないところがあるが、われわれはユーロゾーンにいることを受け入れる。
逆説的ではあるが、祖国とか国家との関係は左翼的であることと矛盾するものではない。フランスでは戦闘的なコミュニストがマルセイエーズを歌う。スペインでは愛国はもっぱら右翼の専有物だったが、Podemosは新しい左翼的愛国主義を掲げる。それは社会的権利、健康、教育まですべてを包含する考え方だ。
われわれには、ギリシャのバルファキス財政相のようなメディア向きのセクシーなエコノミストはいないが、優秀なエコノミストはそろっている。
欧州中銀やドイツと戦うためには、単独では難しいので、イタリアやポルトガル、東欧の一部の国など、政治経済の周辺国の(改革派）と戦略的な同盟を組む必要がる。
（欧州の既成の社会民主主義は、すでに民衆の支持を失っている。フランスではオランドの社会党がいまのようなことをしていては、右翼的なルペンの国民戦線が出てくることになるだろう。）
１１月の総選挙で勝つことができれば、政権を担当する準備は出来ている。
革命的民主主義がわれわれの信念だ。」
EUの行き方に対してはきわめて批判的であるものの、ユーロから離脱するっことは絶対にないと言い切っている。ギリシャのSyrizaとはやや異なる現実的な路線を取っていることが注目される。Syrizaはいまのところユーロからの離脱を唱えていないが、内部に離脱を主張するものもいる。辞任した財務相バルファキスもそのグループに近い考えをもっているようだ。
（ギリシャ国民投票がEUの要求を圧倒的多数で拒否した７月８日に記す）